懲戒(第15条) of 労働契約法のポイント

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懲戒(第15条)

(懲戒)
第十五条 使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。

趣旨

 懲戒は、使用者が企業秩序を維持し、企業の円滑な運営を図るために行われるものです。しかし、懲戒に関するトラブルが訴訟に発展して、企業の懲戒権について権利の濫用となるかどうかが争われた裁判例も多数見られます。また、懲戒は、労働者に労働契約上の不利益を生じさせるものです。そこで、企業の懲戒権の権利濫用にあたる懲戒のトラブルを防止する必要があります。

 このため、労働契約法第15条では、権利濫用に該当する懲戒権の行使は、無効となることについて規定されています。

<参考> 懲戒に関する裁判例

○ ダイハツ工業事件(最高裁昭和58年9月16日第二小法廷判決)

「使用者の懲戒権の行使は当該具体的状況の下において、それが客観的に合理的理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合に初めて権利の濫用として無効になると解するのが相当である。」

内容

 労働契約法第15条は、使用者が労働者を懲戒することができる場合であっても、その懲戒が「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」には、権利濫用に該当するものとして無効となることを明らかにしています。また、懲戒権の権利濫用であるかどうかを判断するにあたっては、労働者の行為の性質や態様など諸事情が考慮されることを規定しています。

 ここでいう「懲戒」とは、労働基準法第89条第9号の「制裁」と同じ意味です。したがって、同条によって、事業場に懲戒の定めがある場合は、その種類や程度について就業規則に記載することが義務付けられています。

 また、使用者が労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則で懲戒の種別やその事由を定めておくことが必要です。

<参考> 使用者が労働者を懲戒するための要件に関する裁判例

 ① 国労札幌支部事件(最高裁昭和54年10月30日第三小法廷)

「企業は、その構成員に対してこれに服することを求めうべく、その一環として、職場環境を適正良好に保持し規律のある業務の運営態勢を確保するため、その物的施設を許諾された目的以外に利用してはならない旨を、一般的に規則をもつて定め、又は具体的に指示、命令することができ、これに違反する行為をする者がある場合には、企業秩序を乱すものとして、当該行為者に対し、その行為の中止、原状回復等必要な指示、命令を発し、又は規則に定めるところに従い制裁として懲戒処分を行うことができるもの、と解するのが相当である。」

 ② フジ興産事件(最高裁平成15年10月10日第二小法廷判決)

「使用者が労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び事由を定めておくことを要する(最高裁昭和54年10月30日第三小法廷判決〈国労札幌支部事件〉)。」


<参考> 懲戒の種類の例

懲戒の種類
内容
訓戒
始末書を出させ、将来を戒める。(戒告、けん責(譴責)ともいいます)
減給
始末書を出させるほか、1回の額が平均賃金の1日分の半額、総額が一賃金支払期における賃金総額の10分の1以内で賃金を減給する。
出勤停止
7日を限度として出勤の停止を命じ、その期間の賃金は支払わない。
降格
始末書を出させるほか、降格させる。
諭旨退職
退職届を提出するように勧告する。尚、勧告をした日から7日以内に退職届の提出がない場合は懲戒解雇とする。
懲戒解雇
予告期間を設けることなく即時解雇をする。この場合、労働基準監督署長の認定を受けた場合は解雇予告手当を支給しない。退職金の一部若しくは全部を支給しないことがある。

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