有期労働契約の期間途中の解雇(第17条第1項) of 労働契約法のポイント

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有期労働契約の期間途中の解雇(第17条第1項)

第四章 期間の定めのある労働契約
第十七条 使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。

有期労働契約の問題点

 期間の定めのある労働契約(「有期労働契約」といいます。)については、使用者側だけではなく、労働者の側からのニーズもあり、現在多くの労働者が契約社員やパートタイム労働者など有期労働契約の雇用形態で働いています。しかし、契約期間の途中の解雇や繰り返し更新されてきた契約が突然やと挑めされるなど、労働契約の終了時のトラブルが多く見られます。

 このような労働者の予期しない有期労働契約の突然の終了は、有期労働契約によって労働する労働者(「有期契約労働者」といいます。)への影響が大きいため、有期労働契約の終了時のトラブルを未然に防止する必要がああります。

 このため、労働契約法第17条においては、有期労働契約の期間途中の解雇や契約期間についての配慮について規定することによって、有期労働契約の終了時に関するルールを明らかにしています。

有期労働契約の期間途中の解雇

 有期労働契約の期間中の雇用保障に関しては、すでに、民法第628条において、「当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる」ことが規定されています。

 すなわち、民法第628条では、やむを得ない事由があるときは契約の解除をすることができるとしていますので、この法令を反対解釈すると、やむを得ない事由がないときは契約の解除をすることができないことになります。

 しかし、実際の企業の場にこの規定が浸透していないためか、「契約社員や期間雇用のパートタイマーはいつでも簡単に辞めてもらえる」と誤解している使用者も少なくありません。

 このため、労働契約法第17条第1項においては、「やむを得ない事由があるとき」に該当しない場合は解雇することができないことを明らかにしています。

「やむを得ない事由」とは

 労働契約法第17条第1項の「やむを得ない事由」とは、いったい具体的にどのような場合にあたるのかは法令上明確にされていません。したがって、具体的に「やむを得ない事由」にあたるかどうかは、個別具体的な事案に応じて判断されることになります。

 しかし、契約の期間については労働者と使用者が合意によって決定するものですので、本来は、必ず遵守されるべきものです。したがって、「やむを得ない事由」があるかないかについては、厳格に判断される必要があります。

 この点については、「やむを得ない事由」があると認められる場合は、期間の定めがない労働契約の解雇権濫用法理における「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当である」と認められる場合よりも、狭い範囲であると解されています。

契約期間中であっても一定の事由によっては解雇することができる合意があった場合

 契約期間中であっても、一定の事由によって解雇することができることを労働者と使用者が合意していた場合であっても、実際にその事由に該当する事項があったからといって、直ちに労働契約法第17条第1項の「やむを得ない事由」があるとそのまま認められるわけではありません。「やむを得ない事由」があったかどうかは、実際に行われた解雇について、個別具体的な事案に応じて判断されることになります。

<参考> 有期労働契約に関する裁判例

 ○ 安川電機八幡工場(パート解雇)事件(福岡高裁平成14年9月18日決定)

「期間の定めのある労働契約の場合は、民法628条により、原則として解除はできず、やむことを得ざる事由ある時に限り、期間内解除(ただし、労働基準法20、21条による予告が必要)ができるにとどまる。したがって、就業規則9条の解雇事由の解釈にあたっても、当該解雇が、3か月の雇用期間の中途でなされなければならないほどの、やむを得ない事由の発生が必要であるというべきである。」

主張立証責任

 労働契約法第17条第1項は、「解雇することができない」ことを規定していますので、使用者が有期労働契約の契約期間中に労働者を解雇しようとする場合に、その根拠規定になるものではありません。したがって、使用者が期間途中の解雇をしようとする場合には、従来どおり、民法第628条が根拠規定となります。そして、「やむを得ない事由」があると認められるために、その評価を基礎付ける事実についての主張立証責任は、使用者側が負うことになります。

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